センター長
遠隔医療センター長  本間 大
(国際医療支援センター 教授)

当センターは、北海道が従来から抱える地域間の医療格差問題を、ICT(情報通信技術)を活用した遠隔医療によって是正することを目的に設置されました。

北海道は、高度な医療設備を備えた医療機関が都市部に集中しており、医師の約6割は札幌市と旭川市に偏在しています。そのため、地方に住む患者さんは、充分な医療を受けるために遠方の医療機関まで足を運ぶ必要があり、経済的・時間的な負担を強いられています。

この状況を改善するための一手段として、遠隔医療が有効であると考えています。

当センターが設立された1999年当時は、遠隔医療を行うために高価なシステムを導入する必要があり、それが遠隔医療の普及を妨げる一要因となっていました。しかし近年では、高精細・大容量の検査画像などを市販のスマートフォンで送受信できるようになり、コスト面でも運用面でも導入しやすい環境が整ってきました。

コロナ禍にある現在、遠隔医療に対する関心が増々高まっています。当センターとしては、withコロナ時代の到来を見据え、引き続き、遠隔医療の普及・促進活動に尽力していきたいと考えています。

一方、北海道の高齢化は、全国水準より5年も早く進んでおり、2025年には道民の34%が65歳以上になると予測されています。そのため、健康寿命をいかに伸ばすかが大きな課題の一つとなっています。そこで当センターでは、遠隔医療の運用で培ったノウハウを地域住民の健康増進に役立てるため、2003年からインターネット健康講座「北海道メディカルミュージアム」を開催し、「健康に暮らすための情報」や「最新の医療情報」を地域住民にわかりやすく提供しています。

これからも発展し続けるICTを、医療・看護・介護の分野で有効活用し、道民の皆様が安心して暮らせる社会を築いていくことが当センターの役割であると考えています。

今後とも、尚一層のご指導とご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

2021年8月2日