遠隔医療

Telemedicine

北海道は、従来から医師不足や医師の偏在化による医療格差の問題を抱えており、先進医療を受けるために遠方からの通院を余儀なくされる患者さんがたくさんいます。旭川医科大学では、患者さんが地元の医療機関で治療を受けられる機会を増やすため、1994年からICT(情報通信技術)を活用した遠隔医療を推進しています。

アジア・ブロードバンド実験

総務省が2003年3月に策定した「アジア・ブロードバンド計画」の「国際情報通信ハブ形成のための高度IT共同実験」において、2006年から3年間、情報通信研究機構(NICT)や国内企業、シンガポール、タイと連携して「3D-HD方式とブロードバンドを活用した眼科医療における遠隔医療の検証」を行いました。

アジア・ブロードバンドネットワーク

実験では、旭川医科大学病院遠隔医療センターとシンガポールのNational Eye Center(SNEC)、タイのChulalongkorn Universityを接続しました。遠隔医療センターから東京までを情報通信研究機構が運用するJGN2で接続し、そこからシンガポール、タイまでを2006年1月に開通したアジア・ブロードバンドネットワークで接続しました。

アジア・ブロードバンドネットワーク
アジア・ブロードバンドネットワーク

世界初の国際間3次元高精細(3D-HD)画像伝送

2006年2月、遠隔医療センターとシンガポールNational Eye Center(SNEC)との間で、世界初となる国際間の3D-HD(3次元高精細)画像伝送実験を行いました。旭川医科大学病院手術室で吉田晃敏センター長が執刀した眼科手術を、遠隔医療センターを介してSNECへ3D-HDでライブ伝送しました。SNECの関係者は、3Dメガネをかけて受信映像を立体視しました。また、両国間で手術症例についてのディスカッションを行いました。

遠隔医療センターでの開催式典の様子 SNEC関係者が3Dメガネをかけて3D-HDを視聴
左:遠隔医療センターでの開催式典の様子、右:SNEC関係者が3Dメガネをかけて3D-HDを視聴

この実験の様子は、シンガポールのメディアにも大きく取り上げられました。

シンガポールのメディアの反応
  

バーチャル眼科シンポジウム開催

  

2007年3月、日本(旭川医科大学)、シンガポール、タイの3カ国で同時に3D-HDライブサージャリーを送受信しながら症例検討を行う「バーチャル眼科シンポジウム」を成功させました。また、3D-HDリアルタイム伝送システムの実用性と3D-HDによる眼科遠隔医療の有用性を評価するため、各国の専門医や研修医で構成する評価者にアンケートを実施し、8割以上の評価者が伝送品質に満足していることを確認しました。これらの成果により、3D-HDによる遠隔医療がアジア諸国間における医療格差の解消に有効であることを確認することができました。

  
バーチャル眼科シンポジウム
バーチャル眼科シンポジウムの様子