研究開発

Research and Development

遠隔医療ネットワークの拡大や遠隔医療システムの高度化を目指し、様々な組織・機関と連携しながらICT(情報通信技術)の研究開発に取り組んでいます。

オンデマンド型ネットワーク制御・優先制御技術

通信トラフィックの輻輳に伴う伝送品質の低下を最適経路の選択によって回避するトラフィックエンジニアリング機能など、高度な通信品質制御が可能なMPLS(Multi Protocol Label Switching)やGMPLS(Generalized MPLS)の特徴を最大限に活用し、ユーザ(医療従事者)の必要とする条件(即時性・高信頼性・高品質性など)が確保された伝送路を、ユーザ自身が短時間で設定・利用できるオンデマンド型ネットワーク制御技術の研究開発を、平成17年度から平成19年度までの3年間で行いました。

研究開発の体制

旭川リサーチセンター内に研究所を設立し、下記の組織と連携して研究開発を進めました。

概要

MPLS/GMPLSを基幹とするネットワーク環境下において、(1)ユーザが動的に確保した伝送路をEnd-to-Endで保証する技術、(2)個々のトラフィックに対して通信目的やアプリケーション特性に応じた優先度を設定し、ネットワークが輻輳する場合でも緊急性が要求される情報を優先的に疎通するための優先制御技術、(3)優先度や要求帯域の設定機能を備えた医療アプリケーション、を研究開発しました。

MPLS/GMPLSを活用したオンデマンド型ネットワーク制御のイメージ

成果の一例

医療アプリケーションの優先制御

医療従事者が現場の状況から判断する「緊急度」「必要度」と、アプリケーションが必要とする通信帯域などの「伝送条件」を用いて優先度を自動的に決定し、その優先度に応じて通信帯域の制限や伝送中断をアプリケーションに指示するゲートウェイを開発しました。

■緊急度
  • レベル
    内容
    状況例
  • 緊急
    緊急に情報流通が必要
    ●時間が経過すると、生命、機能に著しい影響を及ぼす場合
  • 通常
    緊急以外
    ●通常外来診察時に行う情報検索や取得
    ●事前に計画された遠隔診断
■必要度
  • レベル
    内容
    状況例
  • 情報流通が医療行為に必要不可欠、かつ即時にデータ伝送が必要
    ●専門医からの専門外医師の処置や手術等への遠隔指示
    ●手術中の病理診断依頼
  • 情報流通が医療行為に必要不可欠な状況で、定刻までにデータ伝送が完了すれば良い
    ●画像読影依頼など
  • 重要ではあるが、情報流通がなくても通常医療行為が実施可能
    ●専門医による手術への遠隔アドバイス
    ●相手側にも専門医がいる
  • 診察・診療に役立つ情報であるが、情報流通がなくても通常診療は実施可能
    ●通常外来診察等で用いる情報(病歴や他病院での検査結果等)
  • 診療行為以外での利用
    ●研究用データの取得
    ●教育用の動画像再生

優先制御に対応した動画伝送アプリケーション

専門医が診断・手術を支援する遠隔医療では、高画質な動画像をスムーズ(秒30コマ)に伝送できるアプリケーションが求められます。しかし、優先制御によって利用可能な通信帯域が制限されると、画像を高圧縮する必要があるため、実用品質で伝送することが困難となります。

一方、動画像を観察する医師は、画像中の限られた領域を注視することが多いため、その注目領域(ROI:Region of Interest)を出来るだけ高画質に伝送すれば、実用品質を維持することが可能となります。

医師が注目する領域(ROI)と非ROI

そこで、利用可能な通信帯域に応じて、画像中のROIと非ROIの圧縮率を動的に制御する方式を開発しました。通信帯域幅が広い時は、ROIが指定されているかどうかに関わらず、画像全体をROI(高画質)として伝送します。それが困難な帯域となった場合は、ROIの大きさを徐々に小さくし、非ROIの画質を低下させます。このとき、ROIの最少サイズは医師が指定したサイズとします。さらに帯域幅が狭くなり、ROIの最少サイズも伝送できなくなった場合は、ROIの画質も徐々に低下させていきます。

利用可能帯域に応じたROI/非ROIの品質制御方法

この方式により、利用可能な帯域が制限されても遠隔医療で求められる実用品質で伝送することが可能となりました。