研究開発

Research and Development

遠隔医療ネットワークの拡大や遠隔医療システムの高度化を目指し、様々な組織・機関と連携しながらICT(情報通信技術)の研究開発に取り組んでいます。

退院患者フォローアップシステム

早期に退院することは、入院患者にとって負担軽減や安心感の創出につながりますが、そのためには自宅療養中の退院患者をフォローアップできるシステムが必要です。そこで、退院後の患者が在宅のまま、その患者にとって必要な医療情報をリアルタイムで遠隔医療センターへ、セキュリティが保証された状態で伝送・蓄積する技術と、退院患者をフォローアップするための遠隔医療システムを研究開発しました。

概要

本研究が対象とした地域医療のモデルを下図に示します。地方に住む患者の通院負担を軽減し、安心して早期退院、退院後のフォローアップができる体制を構築するためには、以下の3つのシステムが必要となります。このうち、①遠隔相談システム②遠隔在宅医療支援システムを開発しました。

退院患者のフォローアップシステム概念図

成果

①遠隔相談システム(D-D型)

安心して早期に患者が退院できるためには、退院後の仕組みだけでなく、入院中や入院前からのトータルな診療ワークフローの改善が必要です。

すなわち、

  • 地方病院への外来受診段階から当院の専門医と患者情報を共有し、治療方針の相談が行える。
  • 当院に入院中の患者情報を地元医療機関の医師と共有できる。
  • 当院退院時の患者情報を地元医療機関の医師に引継ぐことができる。
  • 当院退院後の外来診療情報を共有できる。

ことが重要であり、患者に対して2つの医療機関が継ぎ目なく一貫性と継続性をもった医療を提供できる体制を構築することが、退院後の患者フォローアップを成功に導く鍵であると考えました。そこで本研究では、インターネット回線を用いた「症例相談システム」と、セキュリティが担保されたVPN(Virtual Private Network)回線による「診療情報共有システム」で構成するD-D型の遠隔相談システムを開発しました。

遠隔相談システムの全体構成
遠隔相談システムの全体構成
●症例相談システム

インターネット回線に接続され汎用ブラウザが装備されているPCがあれば、いつでもどこからでも容易にアクセスできる仕組みとし、医師が出張先からでも症例を閲覧したりメッセージを送信したりすることを可能としています。データはサーバ上にのみ存在し、各PCからはダウンロードできない仕様としています。また、データ暗号化などセキュリティ対策はもちろんのこと、症例情報を「匿名化」して患者が特定される個人情報はアップロードしないなどの運用ルールを定めています。

症例相談システムの画面
症例相談システムの画面
●診療情報共有システム

既設の遠隔診断・診察システムで使用しているVPNネットワーク上に専用サーバと専用のPCを配置することにより、セキュリティが担保された状態で患者実名情報を含む診療情報を伝送・共有することができるようにしました。退院後のフォローアップ時における医師同士の情報共有や、術後管理の指導が受けられるようにしています。

専門的な術後管理を必要とする眼疾患の一つに緑内障があります。緑内障の術後管理を患者の地元医療機関で行うためには、眼圧、視力、視野検査などの数値情報や、眼底写真、OCTなどの検査画像結果の推移を一覧できる必要があります。そこで本システムでは、数値をグラフまたは表形式で表示したり、画像を時系列順に並べて表示できる機能を装備しています。

診療情報共有システムの画面
診療情報共有システムの画面

②遠隔在宅医療支援システム(D-P型)

入院患者の早期退院と、退院後における地元医療機関での診療の継続を可能とするため、患者の自宅に設置する専用端末システムを独自に開発しました。このシステムには、退院した患者が自宅で計測するバイタルデータを医療スタッフが病院から随時モニタリングできる機能、医療スタッフと患者がバイタルデータを共有しながらテレビ電話やメッセージの交換ができる機能を装備しています。

遠隔在宅医療支援システムの全体構成
遠隔在宅医療支援システムの全体構成

患者が自宅で計測できるバイタルデータとして、血圧、脈拍、心電図、体重、血糖値等があり、各々のバイタルセンサーからデータを自動的に医療情報蓄積サーバへ伝送し、グラフ表示できるようにしています。

また、術後合併症のリスクを予防するために、患者の自覚症状を医師に伝える手段としてビデオレター機能、セルフチェック機能を実装しました。セルフチェック機能は、眼科用の視力、アムスラーチャートによる簡易検査と問診アンケートから成り、結果によってアラームを発信し担当医に伝える機能も持っています。

セルフチェック機能
セルフチェック機能
TV電話中の画面
TV電話中の画面(イメージ)