研究開発

Research and Development

遠隔医療ネットワークの拡大や遠隔医療システムの高度化を目指し、様々な組織・機関と連携しながらICT(情報通信技術)の研究開発に取り組んでいます。

衛星インターネットを用いた遠隔医療ネットワーク

DSL(Digital Subscriber Line)や光ファイバなどの高速な通信回線が整備されていない、いわゆるデジタルデバイド地域でも遠隔医療が行えるように、衛星インターネットを使用した遠隔医療ネットワークの構築技術を研究開発しました。

実験ネットワーク

遠隔医療センターと北海道の離島・過疎地にある医療機関を、衛星インターネット回線と長距離無線LANで結び、セキュリティ対策や伝送遅延対策などに関する研究を行いました。

実験ネットワークの参加拠点
実験ネットワークの参加拠点

セキュリティシステム

衛星インターネットは公衆網であるため、通信内容の暗号化と共にサービスシステムへの不正なアクセスを防ぐための利用者認証が必須となります。本研究では、ソフトバンクBB社のSynclockサービス(現在はサービスが終了しています)を活用し、本人が所有する携帯電話を利用者認証手続きに利用することで安全性を高め、かつ利用者認証と連動して通信端末間に安全なVPN通信路を動的に確立できるセキュリティシステムを開発しました。

携帯電話による利用者認証から動的VPN構築までの手順

衛星インターネット利用時のセキュリティシステム
  • ユーザは、遠隔医療用のPCから認証管理サーバにアクセスし、シンクロ認証サーバに事前登録した携帯電話IDを入力する。
  • 認証管理サーバは、シンクロ認証サーバへ本人認証の証明要求を送信する。
  • シンクロ認証サーバは、ユーザのPCに認証用の数字を発行する。
  • ユーザは、事前登録した携帯電話に、PCに表示された数字を入力し、シンクロ認証サーバに送信する。
  • シンクロ認証サーバは、事前登録された携帯電話情報、発行した認証用の数字、携帯電話から受信した数字を照合し、認証管理サーバに認証完了を通知する。
  • 認証管理サーバは、医療情報DBに認証ユーザのアクセス許可を通知する。
  • 認証管理サーバは、ユーザPCと医療情報DB間にVPNを構築する。
  • ユーザPCに医療情報DB閲覧画面が表示され、通信可能となる。

伝送遅延対策

衛星通信を行うと、必ず伝送遅延が発生しますので、衛星インターネットを利用するアプリケーションは、伝送遅延が生じることを前提とした仕様設計が重要となります。

アプリケーション間の伝送遅延時間の測定

実際の遅延時間を測定するため、遠隔医療センターと遠軽厚生病院(北海道遠軽町)の双方にTV電話機能を持つ遠隔医療システムを設置し、下図のような通信環境でTV電話通信を行いました。その結果、衛星通信区間が2つ(2HOP)となる通信経路①では約1.7秒の遅延が生じていることがわかりました。

遠隔医療システム
伝送遅延測定実験
  • 通信経路①-2HOP
    通信経路②-1HOP
    通信経路③-0HOP
  • 1706.33 msec
    446.74 msec
    398.81 msec

モバイル網を併用したTV電話機能の開発

TV電話を用いた遠隔医療では、音声が遅延なくスムーズに送受信できることが重要となります。そこで、音声については、遅延が少ないモバイル回線を利用する仕組みを開発しました。

モバイル網を併用したTV電話機能

この仕組みの有効性を、10名の眼科医に評価してもらったところ、映像と音声を衛星回線で送受信する従来の方式よりも、音声をモバイル回線で送受信する仕組みの方が良い評価となりました。

眼科医による主観評価