研究開発

Research and Development

遠隔医療ネットワークの拡大や遠隔医療システムの高度化を目指し、様々な組織・機関と連携しながらICT(情報通信技術)の研究開発に取り組んでいます。

3D眼科画像伝送技術

眼科遠隔医療において、あたかもその場にいるかのような高臨場感(立体視)映像を、圧縮・伝送・表示するための高度情報通信システムの開発を目指し、平成8年度から平成13年度までの6年間、(1)眼科医療画像の圧縮アルゴリズムの研究開発、(2)眼科医療画像の立体視技術の研究開発、を行いました。

研究開発の体制

旭川リサーチセンター内に研究所を設立し、下記の組織と連携して研究開発を進めました。

旭川リサーチセンターの研究所

研究開発の概要

実験環境

眼科用の検査顕微鏡(細隙灯顕微鏡)、手術顕微鏡に2台のビデオカメラ(720(H)×480(V)画素、フルカラー)を装着し、医師が顕微鏡で観察する患者の眼球像を立体画像として撮影・表示できる環境を研究所内に作りました。

左:細隙灯顕微鏡による立体画像の撮影、右:3Dモニタによる立体画像の表示

眼科医療画像

手術顕微鏡、細隙灯顕微鏡で撮影される眼科医療画像は、下記の4種類に大別することができます。これらの画像が持つ特徴を利用して、効率的な圧縮アルゴリズムと見やすい立体画像表示方法を研究しました。

手術顕微鏡で撮影される画像(左:眼球表面、右:眼底)
細隙灯顕微鏡で撮影される画像(左:スリット光の幅が広い、右:スリット光の幅が狭い)

成果の一例

眼底画像は、眼球の上から瞳孔を通して撮影しているため、眼底よりも手前に存在する虹彩によって隠された領域(オクルージョン)が常に出現します。オクルージョン領域は、左右画像間で異なる像が写るため、立体視が成立せず、視野闘争などによる眼疲労の原因となります。そこで、オクルージョンの出現を前提とした眼底画像の圧縮方法と立体表示方法を開発しました。

眼底画像のオクルージョン領域

具体的には、眼底画像を、A:立体視が可能な領域、B:オクルージョン領域、C:暗領域に分割し、領域毎に圧縮率を設定する方法を提案しました。

領域Aは、手術器具の先端など重要なものが写っており、医師が注目する領域であることから、低圧縮(高画質)としました。

領域Bにも、手術器具などが写っていますが、この領域は立体視が成立しないため、多少の画質劣化は実用上問題にならないと考えました。また、周囲像のボケが立体視をしやすくするという報告もあることから、オクルージョン領域の圧縮率を高める(ボケた画像にする)ことで領域Aが見やすくなり、眼疲労も軽減されると考えました。そこで、領域Bの圧縮率を領域Aよりも高めに設定することとしました。

領域Cは、医学的に重要なものが写らない領域であるため、高圧縮(低画質)としました。

眼底画像の領域分割と圧縮率の設定